ビジョン


日本のモノづくりの新たな段階への進化に貢献する」これが、エンジニアリング・ブレインのビジョンです。日本のモノづくりの新たな段階とは、どのような段階、将来像なのでしょうか。

これまで日本のモノづくりは、高性能、高信頼かつ低コストの製品の提供によって発展を遂げてきました。その過程で、業務を効率よく、かつミスなく実施するために、業務の分業化やマニュアル化が進みました。その結果、担当の範囲内の業務は効率よく進められる一方で、範囲外の業務への対応が不得意なエンジニアが増えてしまいました。それでも高性能、高信頼のモノづくりが実現できたのは、日本のモノづくりを作り上げ、その過程で幅広い知識を獲得した団塊の世代のエンジニアが、スーパーエンジニアとしてモノづくりの全体を俯瞰して業務を管理、調整、リードしてきたからです。

しかし近年、自動車の不具合によるリコールの件数は横ばいの状況です。日本のモノづくりを支えた団塊世代の先輩エンジニアが第一線を退かれた今、かつてのようなスーパーエンジニアに頼るモノづくりシステムは機能しません。加えて、2020年以降のコロナ禍で、職場のコミュニケーション不足が懸念される事態が発生しています。分業化やマニュアル化が進んだ日本モノづくりにおいて、全体を俯瞰できるエンジニア不在、コミュニケーション不足の状態では、リコールの件数がいつ増加傾向に転じてもおかしくないのです。「品質が高い」という日本製プロダクトのブランドイメージがいつ壊れてもおかしくないのです。

このような課題を克服する一つのアプローチは、担当業務範囲が狭いエンジニアがスーパーエンジニアになる、という方法です。これまでに日本で培われたモノづくりに関する膨大な量の知識は、幸運なことに何らかの形で保管されています。紙の資料として保管されている場合もあれば、デジタル化して保管されている場合もあります。このような知識をエンジニアが業務遂行において自らの知識のように利用できれば、スーパーエンジニア並みの知識を駆使した業務遂行が可能になるのです。特定の凄いスキルをもつエンジニアに頼ったモノづくりではなく、多様な背景を持つエンジニアが自らの知識を過去に蓄積された知識で補完・利用し、皆で素晴らしい製品を作り出すモノづくり。性別、年齢の異なる人々、身体的・精神的な個性を持つ人々が、それぞれの個性や能力を活かしつつ、同時に先人が築き上げた英知を自らの知識のように使い、日本らしい丁寧な、気遣いの行き届いたモノづくりを実現する。これが日本のモノづくりの新たな段階、将来像だとエンジニアリング・ブレインは考えています。

エンジニアリング・ブレインが提供する道具の第一弾、それはモノづくりに関する知識の引き出し口「ナレッジ・ポート」です。強い日本のモノづくりを立ち上げた先輩方が蓄積したモノづくりに関する知識、現在進行形で蓄積されているモノづくり知識を、過去に自らが経験した知識のように利用するための引き出し口、ナレッジ・ポートを提供します。このナレッジ・ポートを使えば、エンジニアリング業務の中で作成される文章や発話に対して、関連するモノづくり知識をリアルタイムに受け取ることができます。

テスト公開中のナレッジ・ポートは、日本のモノづくりの新たな段階を実現する一助となるべく、今後も改良を継続していきます。ぜひご利用ください。日本のモノづくりの新たな章の始まりです。

2023年4月 エンジニアリングブレイン主宰 P. Q.